日本語教室inネパール

 

竹口さんの場合

 

 私が何度もネパールに来るのはココが好きだからで、今回もそれだけの理由でやって来ました。日本で、日本語教師のための勉強をした事もなく、それについての知識もありませんでした。今思えば来る前は、自分でも嫌になるくらい気楽に「なるようになる」と思っていました。
 けど、すぐに「先生」をする事の大変さが身にしみてわかりました。まず、私には朝きちんと起きる事が大変で、それには慣れても「先生」には中々慣れず、残り一週間程となった今でも慣れていません。
 「先生」を始めたばかりの頃は、一日の授業のことで頭が一杯でした。すこし自分のペースがわかってきた頃に、「先生」と呼ばれる事に違和感というか、プレッシャ−というか、自分でも分からない抵抗を感じるようになりました。
 というのも、私はただ日本語を母国語としているだけで、知識も経験も無い素人だからです。そんな私が堂々と教室の前に立って、お金を払って真面目に日本語を学ぼうとしている人から「先生」と呼ばれる・・プレッシャーというよりも罪悪感でした。
 そんな事を考えながらでも、毎日朝が来て授業をしなくてはいけない。途中から入学して来る学生も増える一方で、授業の内容も難しくなってくる。私の気持ちもどんどん後退していくばかりでした。
 でもある日、「日本でどれだけ勉強したかは関係ない。ここでどれだけがんばるかが大切だ」と言われて、前向きに戻れました。今すぐにいい授業が出来きるようにはなれないけれど、「先生」と呼ばれても恥ずかしくないないだけの努力をしようと思うようになりました。
 やっぱり私はネパールという国が好きで、今までココで出会った人たちが好きで、その中には今いる学生達も、もちろん含まれます。だから、上手に教えることは出来なくても、楽しい90分にしたい。学校としてはそれだけじゃ駄目ですけど、今の私に出来る事は「日本語の勉強は楽しい」と感じてもらう事、そのために少しでも役に立てたらいいと願って、毎日教室に入っていきます。


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